物理・化学・天文学…。甘くて真っ赤なマンゴーを作るためには毎日が勉強の連続。
IT業界にいた頃より学ぶことは多いけれど、農業は心癒やされるし楽しいよ。
6月上旬〜7月下旬のうるマルシェはうるま市産マンゴーの入荷ラッシュ! 今年もご自宅用に贈答用にとご好評をいただいています。今回はマンゴー農園「ゆめファーム」に當銘勇人さんを訪ねました。
うるマルシェからクルマでほんの10分ほど、うるま市豊原にある「ゆめファーム」は、先祖代々受け継がれてきた約7000坪の農地を利用した當銘勇人(とうめはやと)さんのマンゴー農園です。
當銘さんは、システムエンジニアとして30年以上金融系のシステム開発に携わっていたそうですが、早期退職して2014年から念願の農業に専念するように。
「定年したら本格的に農業をやりたいと思って独学でマンゴーづくりを学び、3年ほど週末農家をしてたんだ。でも、マンゴーづくりは手間ひまかかるので、土日の作業だけではどっちつかずになる。せっかく作るならおいしいと言われるものを作りたいからね」と、ハウスに導いてくれました。
ハウスでは数週間後に出荷予定だというマンゴーたちが、じわじわと赤みと糖度を増しているところ…と、あれれ? マンゴーの木の下にはずいぶんと雑草が生い茂っていますよね?
「害虫は最初に雑草につくので、マンゴーへの被害が少なくてすむ。雑草には害虫を捕食してくれる昆虫も集まるからね。それに刈り取った雑草を木の根元においておけば、土中の微生物が分解してやがては土が肥える。あえて雑草を活かして、自然に近い形で育てるようにしているよ」
しっかりと糖度がのったマンゴーを育てるには枝の剪定も大事な作業。栄養をたっぷりと蓄えた青々とした葉がマンゴーの実に養分を送るため、木が成長しすぎるのをコントロールしつつ、元気な葉をどれだけたくさん残すかが農家の腕の見せどころなんだそうです。剪定の判断を誤ると翌年は実がつかなくなることもあるとかで、これは経験がものをいう作業ですね。
こうしてひとたびマンゴーが結実すると、今度は追肥したり、実にまんべんなく陽が当たるようヒモで吊り下げ位置を調整する作業も。そのほか、風通しに気を配る、たっぷり水をやるなど、暑いなかでもやらなければならないことは山ほどあります。
「植物がどのように光合成して、どのような栄養素を作りだすか、毎年の気候が木の発育にどんな影響を与えるか、どこに実を吊るすのがベストかなど、経験則はもちろん、物理・化学・天文学まで、いいマンゴーを作るためには学ぶことがいっぱいある」
「それでもサラリーマンをやっていた頃みたいなストレスは少ないし、農業は心癒やされるしで、ITよりも楽しいよ。これからまだまだ品質を高めていくからね!」
そういって畑になっていたミニマンゴーの皮を剥いて、はい!と手渡してくれた當銘さん。ちっちゃいのに、すっごく甘くてジューシー! たまりませーん!
実を傷つけない非破壊糖度計でひとつずつチェックし、糖度と赤みが十分にのったマンゴーしか出荷しないのが當銘さんのこだわり。7月いっぱいくらいまでうるマルシェの店頭に並ぶので、ぜひみなさんにもその味わいを堪能していただきたいです。
當銘さん、暑いなかでの作業が続きますが、完熟マンゴーがうるマルシェに届くのを楽しみにしていますよ。どうもありがとうございました!
※この記事は2020年6月の取材にもとづいて作成されたものです。