自然界で生まれたものだから、なるべく自然に近い形で育てるようにしている。
いい海ぶどうが出せないときは、無理してまでは出荷しないね。
プチプチの食感と磯の香りがたまらない海ぶどう。うるマルシェでは例年4月〜10月くらいまで店頭に並んでいます。実はこの海ぶどうは希少なうるま市産!平安座島(へんざじま)の天然の海水で育てられたものです。
今回、海中道路を渡ってやってきたのは「海ぶどう平安座養殖場」。
鳥居(?) の真ん中に亀島が見える「竜宮門(りゅうぐうじょう!?)」の向かいに、海ぶどう生産者・三好和美(みよしかずみ)さんの養殖場はあります。
さっそく中に案内してもらうと、そこには10基の水槽がずらり。
「うちの海ぶどうは目の前の海から汲み上げた海水を循環させて育てていてね。養殖は独学で一から学んだ。養殖設備もぜんぶ自分で作ったんだよ」
沖縄は温水器などの複雑な設備を使わずに海ぶどうの陸上養殖ができる北限だそうです。汲み上げる海水の量を調節しながら、海ぶどう養殖に最適な20〜30℃に水温を保つのが日課。雨が降ればビニールシートで保護し、日が射せばネットをかける必要もあります。台風の時などは水質や気圧にも注意が必要。
「日々気を配ることがあるけれど、海ぶどうはもともと自然界で育まれてきたもの。なるべく自然に近い形で育ててあげるのが一番だと思っているよ」と三好さんはいいます。
1ヶ月ほどかけて育てた海ぶどうがこちら。光合成した元気な部分を出荷用に収穫していきます。ちなみに光合成が弱い薄みどり色の部分は再び水槽に戻し、養生して苗にするそうです。
さあ、収穫した海ぶどうを、いざ出荷!…というわけにはいかず…実はここからが大変。摘みたての海ぶどうは茎が傷ついているので、まず2日ほどそっと寝かせて傷口をふさぎます。その後、元気をつけるために数日間攪拌(かくはん)しながら養生。続いて炭酸水で小エビなどの付着物を除去します。炭酸水につけると海ぶどう自体も少し弱ってしまうので、再び数日間養生して元気復活!…という具合に収穫から出荷までさらに1週間〜10日かかるというから驚きです。
元気モリモリの海ぶどうは、常温保存で出荷日から1週間〜10日が賞味期間。
「養生が足りないと食感や味が落ちるのが早いので、僕は無理してまでは出荷しないね。いいものを作っていれば、きっとお客さんは納得してくれると思うから」
三好さんは定年退職後、山野草などを取り入れた医食同源の沖縄の食文化に惹かれて平安座島に移住したそう。海ぶどう養殖を始めた2014年以来、口コミでリピートするファンが増え続けているというからその味はお墨付きです。生産量が多くはないので、養殖場以外ではうるマルシェでしか手に入らない希少な味。うるまの海の栄養素がたっぷり詰まった海ぶどうをぜひご賞味ください。
ちなみに現在、三好さんは海ぶどうの仲間である「海ゴーヤー」の養殖のほか、海ぶどうやもずくの加工品の開発にもチャレンジ中! それらの商品がうるマルシェに並ぶ日も楽しみです〜。三好さん、また寄らせてもらいますね。どうもありがとうございました!
※この記事は2020年4月の取材にもとづいて作成されたものです。