家族の力を集結! 父の跡を継いで沖縄ならではの農作物づくりに精を出すかたわら、母の味を受け継いだ調味料を手作り販売する「古謝ぐゎー商店」を妻とやってます!
沖縄の夏野菜の定番「ゴーヤー」は、古くからうちなーんちゅに親しまれてきた島野菜(沖縄伝統的農産物)の代表格。父親の跡を継いでゴーヤーなどを栽培している古謝雄樹(こじゃゆうき)さんは、自分たちで作る農作物の魅力をより多くの人に伝えたいと加工品づくりにも挑戦しています。
今回訪ねたのは、うるま市兼箇段にある「古謝農園」。農園主の古謝雄樹(こじゃゆうき)さんは幼い頃から畑で農作業に励む父親の背中を見て育ち、約10年前に働いていた東京から沖縄に戻って、農業を継ぎました。
1000坪ほどの畑でゴーヤーを栽培しているほか、オクラ、ヘチマ、枝豆、島唐辛子、パパイヤなど、沖縄らしさ溢れる野菜をいくつも作っています。
私たちが畑にお邪魔した6月は、ちょうどゴーヤー栽培の最盛期。ゴーヤーの黄色い可憐な花の花言葉はなんと「強壮」だそうです。いかにもゴーヤーらしくて、なんだか微笑ましいですね。花の下にすでにちっちゃなゴーヤーらしきものが見える上の写真は雌花です。
古謝さんが作っているゴーヤーは、沖縄の気候風土に合った在来種「群星(むるぶし)」。比較的病害虫に強く、収量も多いので育てやすい品種だそう。古謝さんの畑では、沖縄の日差しをたっぷりと浴びて栄養満点に育つようにと路地栽培していました。
「収穫量だけでなく、昔ながらの味がする、とおじぃやおばぁが喜んでくれるから群星を作っています」と古謝さんはいいます。
ミネラル豊富な沖縄の土壌で育つゴーヤーは、本土のものよりもミネラル分が多く含まれているという研究結果があるほど。「沖縄で食べるゴーヤーチャンプルーはやっぱりおいしい!」という方は多いですが、それにはちゃんとした理由があるわけですね。
この日、古謝さんの畑にご一緒した野菜ソムリエプロの手登根節子さんによると、「ゴーヤーの苦みはモモルデシンという物質によるもので、食欲を増進する働きがあるんですよ」とのこと。昔から食欲の落ちやすい夏に、ゴーヤーがよく食べられてきたことに改めて納得!
またゴーヤーに含まれるカリウムは、余分なナトリムを排出してくれる働きがあるため、高血圧やむくみ予防にも役立つそうです。古謝さんのゴーヤーは例年6月後半ごろからうるマルシェの店頭に並びます。近年は全国的に夏の気温が上昇していますが、暑い夏を乗り切るための強い味方といえますね。
ゴーヤー以外にもさまざまな作物を作っているので「ほぼ一年中、農園の仕事をしていますよ」と畑で汗を流す古謝さんですが、コロナ禍の2021年に農業のかたわら「古謝ぐゎー商店」をオープン。「何があるかわからないのが農業だから」と、加工品の製造販売を始めたのです。
商店で製造しているのは、古謝さんのお母さんのレシピを受け継いだオリジナルの「沖縄 島とん」シリーズ。「とん」は“とんがらし”のことで、原料には自家栽培の島とうがらしが使われています。店内には万能タレやコーレーグース、ラー油、七味・八味が並んでいました。
なかでもイチオシなのが「島とんの万能タレ」。自家栽培の島ニンニクも効いてます!味は甘口と中辛の2種類。どちらも甲乙つけがたいおいしさで、焼き肉のタレとしてはもちろん、豚肉のしょうが焼きやチャーハン、野菜炒めの味付けにもぴったり。マヨネーズと混ぜて野菜ディップにしたり、タレに八味を加えて刺身にかけて食べるのもおすすめだそうです。
古謝さんのおかあさんは七味作りの名手でもあり、「島とん七味」も製造。さらにそのレシピをアレンジして生まれた「島とん八味(はちみ)」とのセット商品(写真左のボックス)も風味抜群でおすすめです。
「島とん」シリーズの商品は商店の奥にある加工場で作っていて、パッキングやラバル貼りにいたるまで、すべて手作業で行われています。
この日、加工場で味見させてもらった作りたての八味は、一般的な七味とは原料がほぼ違うオリジナル。島唐辛子、山椒、しょうがに加え、カーブチー(沖縄在来種のみかん)の皮が入っているのが一番の特徴です。柑橘系の爽やかな香りで辛みを引き立てたところで、最後の一味にアーサ(ヒトエグサ)をプラス。これもおかあさんのアドバイスだそうですが、クセになるおいしさでした!
はい。ということで、トリでの登場になってしまいましたが、写真右は畑や店で一緒に働く古謝さんの奥様・美奈子さん。元グラフィックデザイナーで、商店のおしゃれな内装や商品ラベルは美奈子さんがデザインを手掛けました。
家族それぞれの得意分野を生かして、次々とおもしろい取り組みをしている古謝さんファミリーの今後のチャレンジにも期待大! 古謝さんの野菜をはじめ、「島とん」シリーズ商品は、通販でも購入できます。うるマルシェでも販売しているので、ぜひ売り場でチェックしてみてくださいね。
うるマルシェのYoutubeチャンネルでは、今回一緒に古謝ぐゎー農園を訪問した野菜ソムリエプロ・手登根節子さんの動画を配信しています。畑で採れたてのゴーヤーを味見させてもらったのですが、おいしかった〜! ぜひ合わせてチェックしてみてくださいね!
- お出かけテトネーゼキッチン 「古謝ぐゎー農園」で採れたてゴーヤーを味わう
※この記事は2022年6月の取材にもとづいて作成されたものです。