生産者紹介09. 高江洲製塩所 高江洲優さん(沖縄・うるま市勝連)

//生産者紹介09. 高江洲製塩所 高江洲優さん(沖縄・うるま市勝連)

沖縄・浜比嘉島の海水だけを使って、素朴な製法でつくるミネラル豊富な天然塩

自然を相手に、手間がかかり大量生産できないけれど、それでもカラダによくておいしい塩が作りたい

野菜や肉・魚などの生鮮食品のほかに、うるま市産・沖縄県産の加工品を多彩に取り揃えているうるマルシェ。今回は少量生産の希少な天然塩「浜比嘉の塩」を作る高江洲製塩所をご紹介します。

うるま市の絶景ドライブスポット 海中道路を超え、さらに浜比嘉大橋を渡った先にある小さな島、浜比嘉島(はまひがじま)。青く美しい海に囲まれたこの島は、琉球の創世神とされるアマミチュー(女神)・シルミチュー(男神)が祀られている神話の島でもあります。シルミチューが住んでいたと伝わる洞窟の近くにあるのが「高江洲製塩所(たかえすせいえんじょ)」。ここでは目の前に広がる天然の浜から汲み上げた海水のみを使って塩が作られています。

製塩所を営む高江洲優(たかえすまさる)さんが、最初に塩づくりに携わったのは2004年ごろ。沖縄にあった本土の塩会社の子会社社員として、当初は海外から輸入した天日塩で再製塩を作っていたといいます。ところが2012年ごろ、親会社の撤退とともに子会社も閉鎖されることに…

「設備はまだ使える状態だったので、親会社と交渉して自分で製塩所を立ち上げることにしました。せっかく浜比嘉島で塩を作るなら、沖縄の海水を100%使った塩が作りたかった。いろいろと塩づくりのことを調べ、昭和20年〜46年ごろまで四国や兵庫県で使われていた『流下式塩田』にヒントを得て、独自の塩づくりを編み出しました」

兵庫県赤穂市で復元された流下式塩田を参考に、改良を加えて作ったのがこちらの高江洲さんバージョン。大きな木枠に細い竹枝を取り付けたシンプルな構造で、海水を循環させながら自然の風によって塩分濃度を高める仕組みです。

竹林がない沖縄で高江洲さんが塩田づくりに使ったのは、なんと1000本以上の竹ボウキ!? 台風の被害を抑えるために高さを3.6mと低めにし、竹枝をスライド式にして取り外せるようにするなど、高江洲さんなりの工夫は随所に光っています。

塩づくりの行程は大きく分けて2つ。まずは満潮時にタンクに貯めた海水をポンプで塩田の上からゆっくりと流し、竹枝を伝って海水が落ちる間に水分を飛ばします。下に落ちた海水は地面の勾配を利用して集められ再びタンクへ。海から汲み上げたばかりの海水の塩分濃度は4%ほどですが、この過程を10回ほど繰り返すことで塩分濃度が20%くらいまで高まるそうです。

「夏場は湿度が高いのでこの作業に2〜3日かかる。途中で雨水が混ざってしまうと作業をやり直すことになるので注意が必要だし、台風の前後は装置の取り外しや取り付け、掃除などで1週間ほど製造がストップする。手間はかかるし、天気に左右されるしで、大量生産できないんだよね」

こうした苦労を重ねて塩分やミネラル分を濃縮させた海水を、製塩所内の平釜で炊き上げるのが次の行程。約800Lの濃縮水を4時間かけて煮詰めると、160kgほどの塩ができます。製塩所に入るやいなや、滝のように汗が吹き出すこの作業は暑さとの戦い。熱中症になりませんかと声をかけると、「塩屋だけに塩はいっぱいあるからね〜」と、高江洲さんはユーモアたっぷりに作業を続けます。

炊き上げの行程で落ちてくるにがりにはカルシウムやカリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

「塩辛すぎず、苦味が少ない塩を作るには、にがりをいかに程よく残すかがカギ。15年以上やってるけど、いまだに試行錯誤だよ」と、高江洲さんは塩づくりの奥深さを語ります。

炊き上げでできる塩は2種類。家庭での調理のほか、さまざまな加工品にも使用されている「浜比嘉塩」と、天ぷらなどと相性抜群の「大粒塩」です。大粒塩は炊き上げの最初に浮き上がってくミネラル豊富でまろやかな味わいの塩で、一回の炊き上げからわずか1kgしかとれない希少な塩。沖縄県内で扱っているのは高江洲製塩所とうるマルシェだけなので、見かけたらぜひお手にとってみてくださいね。

「まわりに民家や畑がなくて海水がきれいだし、沖には黒潮が流れているので、ここは塩づくりにはとてもいい環境。独自の塩づくりにこだわっているのは、カラダにとっていい塩で、なおかつ料理に使ってもおいしい塩を作りたい一心ですよ」

そう語る高江洲さんには、沖縄の素材だけで作られている天然塩の魅力を、地元の人や観光客にもっと伝えたいという思いがあります。

製塩所で行なっている塩づくり体験もその取り組みのひとつ。塩ダジャレがポンポン飛び出す30分ほどの楽しい体験は、地元の子どもたちの夏休みの自由研究にも人気なんだそうです。

かき混ぜ方や火を止めるタイミングなどで、同じ海水から作ってもまったく味の違う塩になるから驚き。大人にとっても塩づくりの奥深さが学べる貴重な体験です。ちなみにうるマルシェでも体験イベントを企画することがありますので、このサイトのイベント情報やfacebook、Instagramもぜひチェックしてみてくださいね。

高江洲製塩所:http://hamahigasalt.com/

うるマルシェFacebook:https://www.facebook.com/urumarche

うるマルシェInstagram:https://www.instagram.com/urumarche_urumacity/

ということで高江洲さん、

塩だけにステキなご塩(えん)をありがとうございマース! 今後も増え続けるらしい(!?)塩ダジャレのレパートリーも楽しみにしていますよ〜!

※この記事は2020年9月の取材にもとづいて作成されたものです。

2020-10-30T12:53:27+00:00