うるマルシェの生産者さん10. 自然栽培の果樹・野菜農家 新里えり子さん(沖縄・うるま市石川)

//うるマルシェの生産者さん10. 自然栽培の果樹・野菜農家 新里えり子さん(沖縄・うるま市石川)

ちゃんとおいしく、しっかり栄養が摂れる、安心な自然栽培の作物を出荷しています。

障がい者や女性、高齢者など、幅広い層を巻き込んだ地域密着型の農業を広めていきたい

沖縄在来のヤマブドウやパイナップルをはじめ、多品種の果樹や野菜を無農薬・無肥料で育てている新里えり子さん。自然栽培をめざしたのは、親が大病を患ったのがきっかけだったといいます。

うるま市石川で農薬や肥料、動物性堆肥を一切使わない自然栽培で農作物を育てている新里(しんざと)えり子さん。夏場はパイナップル、秋はヤマブドウ、晩秋から春にかけてはミニトマトやズッキーニ、島ニンニクや島ネギ、葉野菜やショウガといった野菜を栽培し、うるマルシェをメインに出荷しています。

畑にお邪魔したのはヤマブドウ「リュウキュウガネブ」の実がむらさき色に色づきはじめた頃。沖縄在来のこのブドウはワインの原料として栽培され、沖縄県内のオーべルジュ(宿泊施設を備えたレストラン)オーナーのもとに納められています。

「リュウキュウガネブは沖縄のどこの山にでもあるようなヤマブドウの原種。私が子どもの頃は放課後に山へ行って、リュウキュウガネブか野いちごをお弁当箱いっぱいに詰めて帰ったものです」と、えり子さんがにこやかに教えてくれました。

石垣島のパイナップル農家に生まれ育ったえり子さんは、以前はコンピューター関連の仕事に就いていましたが、2017年に農業への転身を決意。農業大学校で1年間基礎を学び、自宅のあるうるま市で独立した頃にお父さんが大病を患ったといいます。

「食に敏感な方が本当に安心して食べられる野菜や果物を、身近な場所で手に入れることの難しさを、その時痛感しました。だから自然栽培で地域密着型、そして社会貢献にもなるような農業をめざすと決めたんです」

えり子さんが実践する自然農法は、沖縄の先人たちが日々の経験のなかでノウハウを培ってきた“ばぁちゃん農法”。古い文献などを紐解きながら、月の満ち欠けに合わせて種まきや収穫をしたり、土の中の微生物の力を借りたり、植物の特性に合わせて枝を剪定してあげたりと、作物が元気に育つ環境を整えながら、その本来の力を最大限に引き出す昔ながらの農法です。

「環境や天候に左右される農法なので、成長が遅れても見守るしかない、信じるしかないとナーバスになることもあります。それでも、やっぱり自分や家族が食べてちゃんと旨みを感じ、栄養分もしっかり摂れる安心・安全な作物を、自信を持って提供できるのが自然栽培の良さですね」と、えり子さんはいいます。

とはいえ、冬でも雑草が驚くほどよく育つ沖縄での自然栽培は、日々の草刈りだけでもたいへんな苦労があります。そこでえり子さんは、うるま市の障がい者福祉施設に入所している方々に草刈りや種とり、収穫や出荷のお手伝いなど農作業のサポートをお願いしています。

台風が沖縄本島に向かっていたこの日、畑では10名ほどのみなさんが草刈りに励んでいました。オープンエアの開放的な場所で、草木や花、生き物などと触れ合う経験は、障がい者のみなさんにとってもいい刺激になっているそう。

「百姓という言葉が表すように、農業においては百も二百もやるべき仕事があります。こうした農福連携をはじめ、地域の高齢者や女性など、まずは幅広い人びとを雇用できるよう体制を整えるのが目下の目標」と、えり子さん。

「そこから新規就農者が増えれば、持病のあるひと、将来子どもをもうける可能性があるひと、体の基礎ができる成長期の子どもたちが、安心しておいしく食べられる野菜や果物がもっと身近に手に入るようになるはず。高齢の先輩方の持つ知識や経験も次の世代のために積み上げていきたいですね」

そう将来の夢を語るえり子さんには、頼もしい助っ人がいます。写真中央は夫の守人(もりと)さん。右は職場の元上司の辻本さんです。二人は仕事のかたわら、週末などを利用して畑仕事を手伝ってくれるそう。

「どんどん仕事を作って、仕事を回して、元気を回していくというのは、もともと辻本さんに教わったことなんですよ(笑)」と、えり子さん。「思いっきり汗をかいて、手塩にかけて育てた作物を収穫する喜びは、マインドフルネスに繋がっています」と、守人さんも笑顔をみせます。

えり子さんをはじめ、日々、多くの方々の愛情を受けて、元気いっぱいに育った野菜や果物がおいしくないわけがありません。帰りに分けてくれたショウガは、爽やかな香りと苦味の少ないみずみずしい味わいに感動。無農薬栽培なので、土を洗い落としたら、皮ごと料理に使うのもおすすめです。

ちなみに今回のショウガは、うるま市健康支援課の栄養士のみなさんの協力のもと、うるマルシェの新鮮な食材をたっぷり使った海鮮しゃぶしゃぶに!レシピがアップされているので、ぜひみなさんも作ってみてくださいね。

クックパッド うるま市健康支援課のキッチン

** 島生姜で味わう☆海鮮しゃぶしゃぶ **

https://cookpad.com/recipe/6421472

ということで、えり子さん、今年のリュウキュウガネブで作るワインが待ちきれませんね〜。冬野菜や来夏のパイナップルなどがうるマルシェに入荷する日も楽しみにしていますね。ありがとうございました!

※この記事は2020年9月の取材にもとづいて作成されたものです。

2020-12-18T17:44:53+00:00