うるま市でナスを作り始めて2年目。今年は20トンの収量を目指しています!
柔らかくて甘みがあるナスを作っているので、ぜひ僕の名前を覚えてほしいです。
ニンジンやインゲン、ビーグ(い草)など、9品目が沖縄県の拠点産地に認定されているうるま市は、農業が基幹産業のひとつになっていて、かねてよりナスの栽培も盛んな地域。30代の若手農家 金城義明(きんじょうよしあき)さんは、2021年にうるま市に移り住み、ナスづくりを始めました。
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今回やってきたのは、うるま市石川の金城義明(きんじょうよしあき)さんのハウス。20歳の時に沖縄本島南部で農業をはじめた金城さんは、以前はインゲンやハーブを育てていたという農家さん。2021年にうるま市に移り住み、ナスを作り始めました。
沖縄は総面積約2200平方キロほどの小さな島ですが、実は土壌の種類がいくつかに分かれていて、エリアごとに栽培に適した作物が違います。本島南部に多い土壌「ジャーガル」は、粘土質の細かい粒子状で透水性が低く、雨が降ると泥でグチャグチャになって、農作業がたいへんだったと、金城さんはいいます。
うるま市の現在の畑は赤土とジャーガルが混じっていて、ジャーガルほどではありませんが、どちらかというと水はけがよくない土壌。そこで金城さんは土に水分が多くても育てやすいナスを作ってみようと考えたのです。
ちょうどその頃、安定的に育つ「PC築陽(ちくよう)」という品種があることを知り、農業改良普及センターの元指導員から、栽培方法を指導してもらいながら作り始めました。
PC築陽はトゲがないので作業がしやすいうえ、やわらかな肉質で食味は抜群。焼きナスや炒め物、煮物、漬け物にしてもおいしいナスだそうです。
私たちが畑にお邪魔したのは梅雨の終わり頃。夏を目前に上昇してきた気温と梅雨時の湿気でハウスの中に数分いるだけでも、全身から汗が噴き出します。
朝6時から作業を始め、昼前にはいったん切り上げ、日差しがやわらぐ午後4時頃から6時頃に収穫するなど、沖縄での農作業は暑さとの戦いです。
金城さんは、今年は5月にナスを植え付けました。梅雨時期に枝分かれしたものの、天候不良で花が散ってしまったこともあったそうです。
ようやく雨が少なくなってきた6月中旬、畑ではいよいよナスが実をふくらませはじめていました。
沖縄の野菜は一日放っておくだけでも大きく成長してしまうことが多いのですが、17~18㎝の大きさで収穫するのが金城さん流。同じ株からたくさんの収量を得るための工夫だそうで、その分、手間が増えるのですが、作業はすべて金城さんひとりでこなしています。
こちらは収穫しながら大きな葉を取り除く剪定作業をしているところ。大きな葉を取り除くのは、ナスの実により多くの栄養分がいくようにするためです。
120坪の畑で試行錯誤しながらナスを作り始めた昨年は、10トンのナスを収穫することが目標でしたが、一年間継続して作ることができたため目標を見事クリアしたそう。
「ピーク時の1日の収量はリンゴ箱3個分で約50kgでしたね」と金城さん。10トンというと実に600箱近く!暑さの中での作業は考えただけでも気が遠くなりそうですが、「ハウスが2棟あるので、今年は2倍の収穫量を見込んでいます」と、ナス栽培2年目の意気込みを語ってくれました。
金城さんはお父さんとふたりでハウスを切り盛りしていて、ナスのほかにもキュウリやインゲン、ゴーヤーなどを栽培しています。ナスと栽培時期が重なるキュウリの収穫はおもにお父さんの担当。せっかくなので、キュウリのハウスも覗かせてもらいました。
ハウスでは、大きくまっすぐに育ったみずみずしいキュウリがすずなり!
「キュウリはあっという間に大きくなるからね。今の時期は1日2回収穫しないと追いつかないよ」と、お父さんも作業に精を出していました。
「自分の名前を覚えてもらって、うるマルシェに並んでいるナスを手に取ってもらいたい」と金城さん。金城さん親子が丹精込めて作るナスはキュウリが買えるのは、うるマルシェだけ。ナスはほぼ一年中、売り場に並んでいますが、やっぱり一番おいしいのは夏場とのことでした〜!
ということで、この日はうるマルシェで毎月、発酵調味料づくりの講座「発酵を学ぶ」を開催してくれている服部あや乃さんも畑に同行。収穫したナスを生のまま、服部さんお手製の味噌や塩麹でいただきました。 もぎたてナスのみずみずしさとほのかな甘み! ホント最高でした!
服部さんの講座当日は、この日のテーマ調味料の豆板醤を使った「麻婆ナス」で、金城さんのナスをいただきました。やさしい味わいの豆板醤とナスの相性バッチリでごはんがすすむ! みなさんもうるマルシェの売り場で金城さんのナスを見かけたら、ぜひいろいろな食べ方でたのしんでいただけるとうれしいです。
- 発酵ライフクリエイター・服部あや乃さん 金城義明さんのもぎたてナスをパクリ!
※この記事は2022年6月の取材にもとづいて作成されたものです。